INTRODUCTION

1960年代から現在にいたるまで-。ハイブランドの創始者にして、伝説の天才デザイナーの輝けるキャリアと知られざる人生の「喝采と孤独」

アカデミー賞®受賞作を抑えて、フランスで初登場NO.1の大ヒット!

半世紀にわたって、全世界の女性から愛され続け、今もなお絶大な人気を誇るハイブランドの創始者にして、伝説のファッションデザイナー、イヴ・サンローラン。“モンドリアン・ルック”“スモーキング”“サファリ・スーツ”など過去の常識を打ち破る革命的なコレクションでファッションの歴史を塗り替え、「モードの帝王」と讃えられた。 エレガンスとは縁の無い中産階級の家庭に生まれたサンローランが、いかにして眩いまでに光り輝くキャリアを築きあげたのか?生涯のパートナーとめぐり逢っても、なお埋められなかった孤独とは?華麗なクリエーションに秘められた壮絶なまでの創造の苦しみとは?天才の知られざる人生の“喝采と孤独”を描く、感動の物語が完成した。

2014年1月、フランスで公開されるや、初登場NO.1ヒットを記録。アカデミー賞®を賑わせた『ゼロ・グラビティ』や『あなたを抱きしめる日まで』を制するという快挙を成し遂げた。人々を熱狂させた理由のひとつに、〈イヴ・サンローラン財団初公認作品〉の称号があった。公私ともにサンローランのパートナーだったピエール・ベルジェが全面協力し、財団所有のアーカイブ衣装を貸し出したのだ。本物の衣装に彩られた映像で、ひとつの時代を作った人物の真実に迫る必見の話題作が、ついに日本にやってくる。

フランスの期待の新星ピエール・ニネの迫真の演技で、華やかなファッション業界の裏側を明かす

1957年、パリ。21歳の若さで、故クリスチャン・ディオールの後を継いだイヴ・サンローランは、初めてのコレクションを大成功させて、華々しいデビューを果たす。芸術家を後援していた26歳のピエール・ベルジェは、友人の紹介でイヴと出会い、すぐに恋におちる。イヴの才能に心酔したピエールは、彼の繊細な心を守ると決意し、ディオール社とのトラブルも一手に引き受け、資金集めに奔走してイヴ・サンローラン社を設立する。イヴは次々と革命的なコレクションを発表、ファッション界の頂点を極めると同時に、カルチャーアイコンとしてもその名を世界に知らしめていく。だが、孤独とプレッシャーがイヴの魂を蝕み、やがてアルコールや薬に依存するようになっていく──。
イヴ・サンローラン役に抜擢されたのは、国立劇団コメディ・フランセーズに在籍するピエール・ニネ。サンローランに酷似したヴィジュアルと繊細なキャラクターを見事に再現した。その迫真の演技は、ピエール・ベルジェに「本人じゃないかと思い、動揺して混乱した」とまで言わしめた。ピュアな存在感と美しい素顔から“Beau Garçon ボー・ギャルソン=きれいな男”として人気が沸騰、今フランスで最も期待される若手俳優だ。ピエール・ベルジェに扮するのは、自ら監督・主演を務めた『不機嫌なママにメルシィ!』で本年度のセザール賞5部門を制したギョーム・ガリエンヌ。ニネと同じくコメディ・フランセーズ所属の実力派俳優で、稀有な天才を愛した男の喜びと切なさを細やかに演じ、観る者の胸を打つ。

監督は、俳優としてキャリアをスタートし、ベルリン国際映画祭パノラマ部門のオープニング作品となった本作で、世界的に注目されたジャリル・レスペール。彼を支えるために、ヨーロッパの一流スタッフが集まった。脚本は『愛を弾く女』のジャック・フィエスキ、衣装は『アメリ』のマデリーン・フォンテーヌ、プロダクション・デザイナーは同じく『アメリ』のアリーヌ・ボネット。オリジナル・スコアは、フランスの若きジャズの天才、イブラヒム・マルーフが手掛けた。
本作のもう一つの見どころは、華やかなファッション業界の裏側。アトリエでの地道な仕事、ショーの準備から本番までの流れ、デザイナーがアイディアを生み出すまでの心の動きとテクニックも丁寧に追いかける。また、愛人を共有したカール・ラガーフェルドやアンディ・ウォーホルら、セレブとの交流も明かされる。
心身ともに限界まで辿り着いたイヴ・サンローランが、その眼で見たものとは──?ひとつのことを極めた、人間の美しさが、ここにある。

STORY

「偉大なメゾンを率いるには、若すぎませんか?」1957年、パリ。クリスチャン・ディオールの死後、21歳で後継者に指名されたイヴ・サンローラン(ピエール・ニネ)は、記者会見でそう聞かれて表情を硬くする。だが、初めてのオートクチュールコレクションは華々しい成功を収め、“トラペーズ・ライン”を発表したイヴは鮮烈なデビューを飾る。
イヴの輝くような才能は、人々を魅了した。ミューズであり、人気モデルのヴィクトワール(シャルロット・ルボン)は、「パリ・マッチ」誌の権力者と結婚するが、イヴに惹かれていた。26歳にして、アーティストの後援者として名を成していたピエール・ベルジェ(ギョーム・ガリエンヌ)も、その一人だ。イヴもまた、ディナーの席で出会ったピエールに強く惹かれる。恋におちた二人は、まもなく一緒に暮らし始める。
デザインに集中したいイヴにとって、顧客への対応やマスコミの取材は重荷だった。その上、兵役の問題が彼の繊細な心にのしかかる。イヴの出身地で今も両親が住むフランス領アルジェリアが、独立戦争で揺れているのだ。ピエールは、「君には才能がある。あとは私がやる」とイヴを支えると誓い、すべての雑務を引き受ける。しかし、召集までは避けられなかった。フランス陸軍入隊から1カ月経たない内に、ストレスに心を打ち砕かれたイヴは神経衰弱のため、軍の精神病院に入院する。
除隊後、病気を理由にディオール社から契約を打ち切られるイヴ。戦おうとするピエールに、イヴは「僕たちのメゾンを持とう」と提案、「デザインで自分を表現するために、君と生きていく」と宣言するイヴに、ピエールも心を決める。

イヴが精神病院で治療を受けたことが世間に広まり、出資がなかなか集まらない。1961年、ピエールの努力が実り、ヴィクトワールの尽力もあり、イヴ・サンローラン社を設立。クリスチャン・ディオールに対する不当解雇の訴訟にも勝利し、遂に第1回のコレクションが幕を開ける。カーテンの影で緊張に震えるイヴを励ますように見守るピエール。皆に促されて最後に出て行き、恥ずかしそうに頭を下げるイヴに、熱狂的な拍手が贈られる。
「退屈だ」とけなすメディアもあれば、「モードの天才」と讃える者もいる。常にプレッシャーと闘ううちに、精神が擦り切れて行くイヴ。彼を守ろうとするピエールの干渉に耐えられないこともあった。
スランプに陥ったイヴは、ある日モンドリアンの画集を見て、天啓を受ける。溢れるようにアイディアがわき、1964年“モンドリアン・ルック”が誕生。アメリカへの進出も果たす。そして1966年“スモーキング”を発表、女性にタキシードを着せたパンツスーツを生み出す。満を持して手掛けたプレタポルテのブティック、リヴ・ゴーシュも大ヒット、ウォーホルの絵に描かれ、まさに時の人となる。
だが、ファッション界のトップに駆け上ったイヴの口から出た言葉、それは──「孤独だ」。新たなるミューズ、ルル・ド・ラ・ファレーズ(ローラ・スメット)と出会い、日々のストレスから逃れようと仲間たちと快楽におぼれていく。魅力的な愛人、ジャック・ド・バシェール(グザビエ・ラフィット)と出会ったのもその時だ。アルコールと薬で魂の痛みを麻痺させながら、振り絞るように華麗なクリエーションを続けるイヴ。1976年、コレクションを目前に、とうとうイヴは力尽きてしまうのだが──。

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